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【宝塚歌劇団】演出部最終試験まで行った僕がどんな流れかをぶっちゃけるよ【演出部】

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 2013年の夏、ボクはありえないくらい緊張していた。

 

 なぜなら、宝塚歌劇団の演出部最終試験と東宝の演出部の最終試験を控えていたからだ。

 

 今回はタイトルにあるように、宝塚歌劇団の演出部の試験の流れをご紹介したい。

 

 

 ちなみに、近年は多少変わったようなので、参考程度にして欲しい。

 

 一次試験 「ESなどの書類審査」

 これは普通の企業と変わらないのですが、ただ他の企業と違うのは、演劇に対する質問が多いということ。

 

 PCに残っていたデータを見ると質問は3つだったようです。

 

 1.これまでの演劇との関わり

 2.これまでに観たことのある舞台・映画等の中で最も印象に残った作品とその理由

 3.志望理由

 ですね。

 

 ボクは演劇関係の団体に所属していたわけでもなくて、ただの演劇好きで演劇を仕事にしたいと思っていたのですが、親族からの反対を受け、じゃあ、今回の就職活動だけでも演劇関係を受けさせてくれぐらいのレベルでした。

 

 そして、最も印象に残った作品とその理由については、「エリザベート」に関して、書きました。死生観と日本の2次元文化と劇団の相性を踏まえて書きました。

 

 最後の志望動機は2次元文化と日本と海外の演劇の比較を軸に書きました。

 

 それで、受かるわけねぇだろーとか鼻をほじくっていたら、合格でーす!と連絡が来て焦りました。

 

 だって…二次試験は…

 

 二次試験 「脚本を書け!」

 これに関してはまぁ、そうだよねといった感じで、知らない人のために説明しておくと、宝塚歌劇団の演出家は脚本家も兼ねているので、基本的には演出と脚本を兼業しなくてはいけないんですね。

 

 とはいえ、脚本を書いたことのないボクは悩みました。

 

 実は今だから言いますが、この間、雪組でロベスピエールが主人公の作品あったじゃないですか。

 

 同じような内容について書きました。

 

 ボクの場合は、ジキルとハイドのように善の部分と悪の部分と分けて、ストーリーが展開していく内容だったので、全然違うのですが、実際に作品を作られた生田先生とお会いすることがあって、ロベスピエールを題材にして、劇団の演出部の試験を受けたんですよーと話したら、そこからロベスピエールについてのトークに。

 

 やっぱり、ボクなんか素人なんで資料が全然手に入らなかったんですけど、プロの人の資料を集める能力って高いなと感じましたよ。

 

 生田先生は非常に優しくて、ボクに対しても真摯にお話してくださいました。

 

 そして、大学の授業とバイトをこなしながら、空き時間のすべてを脚本に注ぎました。

 

 あとは提出して、のんびりしてました。

 

 そこから1ヶ月後くらいですかね。

 

 「合格しました」

 

 とのこと…。

 

 えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 素人が?と思いましたが、同時並行で受けていた東宝の演出部の試験も合格し、オレって演劇のセンスあるのか?と勘違いし始めたんですねぇ…(今もですけど)

 

 最終試験 面接

 夏の暑い日、ボクは新幹線に乗っていました。

 

 なぜなら、宝塚市に向かうため。

 

 いわば、敵の本陣に乗り込む武将のような気分。

 

 駅前のワシントンホテルに一泊。

 

 しかし、ここでアクシデント発生。

 

 部屋の空調が効かない…。

 

 フロントに電話しても、館内一斉管理ですので…の一点張り。

 

 仕方なく、パンツ一丁で寝たのですが、もちろん、朝になると、体調不良。

 

 しかも、スーツケースを持ち歩くのも面倒なので、駅前のロッカーに預けようとするも埋まりまくってる…。

 

 探しまわり、なんとか預けるも、今度は急激な腹痛。

 

 近くの阪急に入り、トイレを済ませ、劇団事務所に向かう。

 

 なんとか時間の10分前に到着すると、ボクが最後だったそうです。

 

 そして、ある程度、面接の想定の復習をしようと思ったら、筆記試験が始まるので、荷物を仕舞うようにと言われ、筆記が終わってからでいいやーとか思っていたら、面接を筆記試験と同時並行で行うとのこと。

 

 しかも、トップバッター…

 

 ヤバイ…

 

 そして、いきなり始まる面接…

 

 目の前には、小池先生、正塚先生、谷先生、石田先生、そして、小林理事長(当時)がいらっしゃいました。

 

 これはヤバイ…

 

 ネットで情報を集めたときは三木先生とか植田先生とかいるって聞いていたのに、まさかの小池先生おるやん…

 

 そう、ボクからすると小池先生とはお笑い芸人になりたい人にとって、ダウンタウンさん、ビートたけしさんなどの大御所。

 

 プロ野球選手になりたい人にとってのイチロー、松井秀喜、一昔前なら王さん、長嶋さんが目の前にいるようなものなのです。

 

 ボクの顔はひきつっていたでしょう。

 

 でも、心の中はもっとてんやわんやでした。

 

 質問の内容ですが、あまり覚えてないのですが、最後に小池先生から受けた質問に対し、支離滅裂な答えをしてしまい、明らか先生たちの空気が変わったのだけは覚えてます。

 

 それに動揺し、頭が真っ白のまま、筆記試験に挑むも、普通の筆記試験より難しい…

 

 筆記試験も終わり、帰りにソリオの喫茶店で一服しながら、落ちたな…と一人で落ち込んだのを覚えています。

 

 そして、もう一個の東宝の試験もこの試験の失敗を引きずってしまい、不合格に…

 

 とまあ、こんな流れでした。

 

 その後、舞台の裏方の仕事に就き、4年近く働いていたのですが、やはり

 

 演出関係の仕事をしたいと思い、退社しました。(病気したっていうのもあるんですけどね)

 

 演劇の仕事をしたいと思っている人にアドバイスをするとしたら、演劇の仕事は大変です。そして、こういう風になりたいというビジョンがない人にはオススメできません。

 

 基本的に給料は安いですし、やりがいはありますが、生活面を考えると、かなり厳しいのではないかと思います。

 

 たとえば、ボクみたいに演出家になりたいとか照明プランナーや装置家を目指したいとかのビジョンを持ってないと、いろんな面でしんどくなります。

 

 普通の企業以上に上下関係も厳しいですし、職人気質の世界なので、失敗すれば、殴られたり、死ぬほど怒鳴られたりすることなんて日常茶飯事です。

 

 何よりも現場で働くのであれば、舞台の上は危険で満ち溢れており、いつ事故が起きてもおかしくない状況というのは割りとあります。

 

 それでも演劇が好きなんだ!という人にはオススメです!

 

 ほんじゃあね!

 

 

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